未来のコミュニティ研究室公開オンラインミーティング記録1 『飛騨市の関係人口の取り組み』

飛騨市のゲストハウスやまなみから配信。その他は各地からオンラインでの参加となったが、50名を超える参加者が集まった。

2020年3月9日、ゲストハウスやまなみにて「飛騨市関係案内所オープンに向けた未来のコミュニティ研究室公開ミーティング」が開催されました。地方創生のキーワードとして、近年盛んに取り上げられている「関係人口」。今年度、未来のコミュニティ研究室では、このホットなテーマにいち早く着目し、関連した研究と実地プロジェクトを並行して進めてきました。本イベントでは、1年間の成果の発表と来年度の活動の紹介、さらにはより良い活動の実現に向けたワークショップを行いました。その様子を、5本の記事に分けてご紹介します。第1本目となる本記事では、冒頭の開会挨拶とプロジェクト全体の概要、学術研究の成果についての発表の模様をお送りします。

開会のご挨拶

上原 惇 氏(以下、上原):本日はオンラインでたくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございます。楽天のサステナビリティ部で未来のコミュニティ研究室に関わっております、上原と申します。よろしくお願いいたします。
まず初めに、今回のイベントについてご説明させていただきます。この度は、新型コロナウイルスの影響により、本日のイベントも一旦中止としたのですが、たくさんの方々に関心を持っていただいていたこともあり、研究室の1年間の活動のまとめと今後の取り組みについて、オンラインで見て頂くという実験的な開催をする運びとなりました。未来のコミュニティ研究室はこの1年間でとても面白い取り組みになってきたと感じておりまして、この活動をもっと広げていきたいという思いもあり、本日の開催に至っております。今日はお付き合いをよろしくお願いいたします。
実は私も今日は東京の自宅の部屋で、誰の声も聞こえず、孤独に司会をしているので、大変ドキドキしております(笑)。

ではまず、今日のスケジュールをお伝えします。
本日はまず飛騨市の関係人口の取り組み全体についてご説明します。次に、この1年間で取り組んできた3つのプロジェクトの報告を行い、その後で来月ローンチ予定の飛騨市関係案内所”ヒダスケ”についてご紹介します。最後に、参加者のみなさんで交流するオンラインワークショップも予定しておりますので、ご都合のつく方はご参加いただけますと大変嬉しいです。

次に、今日のルールを申し上げます。

それでは、本編に入ります。まず、「飛騨市の関係人口の取り組み」ということで、未来のコミュニティ研究室 室長の舩坂さんよりお話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

飛騨市の関係人口の取り組み

舩坂 香菜子 氏(以下、舩坂):では、私の方から飛騨市の関係人口の取り組みについてお話しさせていただきます。

その前に、自己紹介をさせていただきます。2018年の4月より、楽天から飛騨市に出向してきました、舩坂と申します。出向前はネットショップ一筋で働いていました。飛騨市に来てからはそれまでの経験を活かして、ふるさと納税を伸ばすことをミッションとしていたのですが、1年目の終わり頃に、ふるさと納税以外にも取り組んでみたいと思うようになり、飛騨市がそれまでにも進めていた関係人口の取り組みや、ふるさと納税を通したネットショップの支援にも関わるようになりました。今日は1年間を通して取り組んできた飛騨市の関係人口の取り組みを、いろんな方に共有したいということでこの場を設けました。

飛騨市の関係人口の取り組み始動のきっかけ

飛騨市では、2017年から飛騨市ファンクラブや、たねくら村民という制度が始まりました。こういった形で、ファンの方が目に見えるような取り組みをしていたということや、飛騨市ファンクラブ自体が楽天との連携事業で始まったことなどから、これらを進化・発展させる良いタイミングなのではないかと思い、私の出向から約1年のタイミングで一緒に始めることとなりました。

本プロジェクトは、関係人口ということで、他の地域の方の目線も大事になるかと思い、色々なご縁で本プロジェクトを知り、共感してくださった飛騨以外の色々な地域で活動している方とも一緒に進めてきました。

関係人口とは「観光以上、移住未満」。つまり移住と観光の間に位置し、地域と多様に関わる人のことを指し、地域づくりの担い手不足という課題に対し、変化を生み出し、地域の担い手となる人材として期待されています。

一方、このように「関係人口」が地方創生のキーワードとして注目されてきている中で、実態はきちんと研究されていませんでした。そこで、関係人口の研究・実証プロジェクトを思いつき、約1年前に未来のコミュニティ研究室を発足しました。

飛騨市の関係人口にはどんな人がいるの?

実は、昔から飛騨市を外から支えてきてくださった方がたくさんいらっしゃいます。こういった方々が飛騨市を研究したり外に発進したりしてくださることで、地域の良さが保存されていると言えます。

研究を始めるにあたり、飛騨と関わってくださる方々にインタビューをさせていただきました。すると、飛騨特有のヒトやモノ、場所に惹かれて関係人口になっている場合が多いという感じを受けました。

2019年9月、きつね火まつりにて。赤丸は楽天の社員の方々で、いずれもプライベートでの参加。

また、楽天では2年前に飛騨の鳥獣問題を解決するワークショップを行ったのですが、それをきっかけに飛騨の人々と知り合いになり、プライベートで飛騨のイベントやボランティアに参加してくださるようになった方もいらっしゃいます。

こうして色々な人のお話を聞いていくうちに、1つの仮説を持つようになりました。『酒米が、酵母と出会って酒になる』ように、飛騨の関係人口ではない人たちが飛騨の何かをきっかけとして飛騨に来て、その中で印象深い出来事や人に出会ってファンになるのではないか、ということです。

1年間の研究でわかってきたことは?

ここからは、上の仮説を起点として研究をする中でわかってきたことをご紹介します。実は現在、この1年間の研究内容をまとめた論文を執筆し、査読を受けているところです。本日はその内容の一部を、初めてみなさまに公開させていただきます。

最初に、今年8月に全国5000人を対象に実施したアンケート調査の結果から抜粋して2点お伝えします。まず関係人口は移住するのか?ということですが、「移住はしない」「移住はしたいけどできない」といった層が圧倒的に多いことがわかりました。

次に、このグラフは居住地・出身地・関係地(自身が関係していると思っている地域)に対する愛着度合いを示したものですが、他の2つと比べて出身地への愛着が低い人が多いことがわかります。こういった人々が故郷よりも心地よい居場所を求めて関係人口になっていくのではないか、と考えられます。また、飛騨市としては、どうしたら出身地から人が離れてしまう前に地域の愛着を作ることができるのか?を考える必要があると感じています。

また、私たちは全国アンケート以外にも飛騨と関わってくれている方々にアンケートやインタビュー調査を実施してきました。その1つとして、今年の年明けに飛騨市ファンクラブの会員様を対象として「どのような関わり方がしたいですか?」というアンケートをとった結果がこちらになります。ここから、若者だけでなく30〜50代の方々も飛騨と積極的に関わりたいと考えてくださっていることがわかります。

さらに、飛騨市にふるさと納税をしてくださっている方を対象に実施したアンケートで「飛騨市にふるさと納税をしようと思った理由」を尋ねたところ、36.1%の方が返礼品以外の理由で納税をしていることがわかりました。これは、年換算すると約4億円もの寄附金額となり、経済面でも大きな影響があるとわかります。

では、ここからは1年間トライ&エラーを繰り返しながら進めてきた、3つの実証プロジェクトについて各チームから発表します。


なお、本日は『成功事例の共有』ではなく、これからの取り組みを加速させるためのキックオフとしての報告となります。是非お付き合いをよろしくお願い致します。

ライター:蛯谷夏海
東京大学 大学院農学生命科学研究科所属。2019年3月に飛騨の旅館のお手伝いをしたことをきっかけにFCLを知り、参加。修士論文では「関係人口の具体化」をテーマに研究に取り組む。地方を飛び回って現地の人と交流するのが大好き。

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