未来のコミュニティ研究室公開オンラインミーティング記録2 『石棒クラブ』

2020年3月9日、ゲストハウスやまなみにて「飛騨市関係案内所オープンに向けた未来のコミュニティ研究室公開ミーティング」が開催されました。地方創生のキーワードとして、近年盛んに取り上げられている「関係人口」。今年度、未来のコミュニティ研究室では、このホットなテーマにいち早く着目し、関連した研究と実地プロジェクトを並行して進めてきました。本イベントでは、1年間の成果の発表と来年度の活動の紹介、さらにはより良い活動の実現に向けたワークショップを行いました。その様子を、5本の記事に分けてご紹介します。
第2本目の本記事では、3つの実証プロジェクトのうち「石棒クラブ」の発表の模様をお送りします。

▼前回までの記事はこちら

上原:続きまして、3つの実証プロジェクトの報告会に移ります。まず最初は、最近有名になりつつある「石棒クラブ」です。
会場のみなさまは、ご質問などありましたら随時zoomのチャット機能で投稿が可能です。発表の最後に、時間の許す限りお答えさせていただく予定としておりますので、積極的によろしくお願いいたします。

では、課題オーナーの三好さん、よろしくお願いします!

画面中央に写っているのが、今回の取り組みの中心となった「石棒」

石棒クラブとは

三好 清超 氏(以下、三好):課題オーナーの三好清超です。よろしくお願いいたします。
まず、石棒ってなんだ?ということなのですが、今画面上に映っている、いわゆる男根状の石製品です。約4500年前に縄文人が作った、幸せを祈る道具と考えられており、それを通して関係人口を作ろう!と取り組んできたのが「石棒クラブ」です。

課題オーナーである飛騨市の学芸員三好 清超(みよし せいちょう)さん
左から、民具の展示室、民俗館入口、土器石器の展示室の写真

その活動の場となったのが、飛騨みやがわ考古民俗館です。
民具の展示室では合計約3万点を収納しており、このうち2800点が国指定の民具となっています。また、土器石器の展示室には縄文時代の土器石器を展示しており、その中で1番展示数の多いのが石棒です。

石棒クラブを始めたきっかけ

石棒クラブの活動開始前から、東京大学や明治大学の研究者が来訪し、研究活動に取り組んできた。
保育園児を対象として土器づくりに取り組む博物館は全国でもかなり珍しい

民具や土器石器には揺るぎない文化財としての価値があり、それを研究している研究者の方もいらっしゃっていたので、こうした資料の価値をよく知っている方々は以前から飛騨にきてくださっていました。
また、私は考古民俗館の学芸員として、資料の価値を市内の人に知って欲しいという想いから、保育園児を対象とした土器づくり体験を開催したりしていました。

しかし、民俗館には多くの価値や可能性があるものの、実際にはそうした価値の伝達は限定的な範囲に終始してしまい、来場者も減少しているという現状がありました。


そこで、「考古民俗館を多くの人に知ってもらい、関わる人を増やしたい」そんな想いから、このプロジェクトはスタートしました。そして、そこでチョイスしたのが石棒だったわけです。

石棒は、縄文時代に当時の人々が幸せのために作ったと考えられている石器です。通常は1集落に1本見つかるかどうかと言われていますが、飛騨市のある集落では1,000本以上も発見されています。考古民俗館はこの1,000本超の石棒を収蔵する、全国的にも大変珍しい博物館となっており、今回はこの石棒の魅力を核にして地方の小規模ミュージアムのあり方に一石を投じたいと考えました。

石棒クラブの目標とメンバー

石棒クラブの目指すところとして、まずは多くの人に石棒や考古民俗館の存在を知ってもらい、ファンを増やしたいと考えました。次に、飛騨みやがわ考古民俗館を大切に思う人を増やし、行政とも連携しながら保全していくという状態に持っていく。そして、おそらくこれは日本全国の小規模ミュージアムが同じように抱えている課題だと思われるので、そういった各地の博物館にもモデルを拡大する、ということを目標にいたしました。

開始当初のメンバーは6人で、それぞれ様々な理由から参加をいただきました。

1年間の活動記録

そして、1年間で様々な活動をしてきました。本日は映画観賞会&トークショー、バックヤードツアー、石棒撮影のボランティアの3つを主に取り上げて紹介させていただきます。

まず、8月に東京の永田町で行ったイベントの様子です。人が来てくれるのかな?と心配もしていたのですが、46名の方にご参加をいただき、しかもそのうち10名以上がアンケートで「秋のバックヤードツアーにも来る」と回答してくださっていました。

しかし、実際のバックヤードツアーの参加者は9名で、しかも関東からの参加者は0。非常に寂しい思いをしました。
ただ、そこで色々と原因を考えると、このような理由があると想定され、飛騨というバックグラウンドを伝えなければ、石棒の魅力は伝わらないのでは?という結論に至りました。

その反省を踏まえ、2月の撮影ボランティアの募集を行いました。その際には元々縄文や石棒に興味がある人をまずは対象にすることにしました。今回は、5名の募集に対し6名の参加をいただき、石棒の撮影を実施することができました。

活動を通して見えてきたもの

ところで、今回の参加者は、飛騨市内の方が1名で、あとは福井県、滋賀県、京都府など遠方からの参加者が多くいらっしゃいました。そこで、参加者のみなさまに「なぜ参加してくださったのか?」をお聞きし、その理由を参考にしながら今後のイベント内容を考えていけたら良いのかなと思っています。

そして、活動に関わってくださった方々の感想をお聞きすると
・飛騨で縄文関連の活動ができるということに感動した
・飛騨が学びのフィールドワークができる場所だと感じた
・自分の活躍の場があることがわかった

などといったことがあげられました。

そこで、我々は
・僕(清超さん)と出会ってもらう
・石棒クラブが「来てくれる人を広く受け入れ、活躍の場となる」ことを示す

ことが重要であると考えました。

1年間の活動の成果と今後に向けて

最後に、課題オーナーの僕からみた成果は以下の4点です。

また、特に石棒クラブを中心とした飛騨みやがわ考古民俗館の取り組みに、博物館の活用を考えている全国の学芸員や縄文好きのみなさんが注目を集めてくれているというのが大きな成果かなと思っています。
来年度以降の活動も既に計画しており、少しでも多くの方に我々の活動を知ってもらえると良いなと思っています。
また、常に情報発信に取り組み、縄文ドキドキ会、縄文ZEN、ファブカフェなど、既に存在する縄文好きのコミュニティに石棒クラブのことを知ってもらい、一緒に活動をし、応援団を増やしていくといった取り組みにも着手していきたいと考えています。

そして、10年後には持続可能な小規模ミュージアムのあるべき姿を示す革新的な活動をしていければ良いなと思っています。

最後におまけです。
縄文ドキドキ会や井浦 新さんのTwitterで、石棒クラブについて取り上げていただきました。こういった形でSNSなどに取り上げていただくためには、自分たちの情報発信がとても重要になってくると思いますので、来年度以降はアプローチの対象を考え、発信の仕方も工夫していきたいと思っております。

石棒クラブの発表は以上です。ご清聴ありがとうございました!

Q&A

上原:清超さん、ありがとうございました。それでは時間も少しだけありますのでいくつか質問にお答えしていきたいと思います。まず、飛騨市になぜ石棒が1000本も出たのか?ということですが、これについてはいかがでしょうか?

三好:飛騨には、石棒作りに適した「塩谷石」という石が取れる場所があるのですが、そこに縄文人が目をつけて石棒を作り始めたのかなと考えられています。

上原:ありがとうございます。では次に、東京でのイベント開催やブース出展の際にかかった費用のお話が気になります、ということでしたが、そちらはいかがでしょうか?

三好:…みなさんのお志をお待ちしてまーす!(会場笑い)

上原:ありがとうございます(笑)。実際の東京でのイベント開催などに当たっては、飛騨市役所さんを中心としてご支援を受けています。また、そのほかのイベントに関しましては、参加者の方から参加費をいただいて、収支がマイナスにならないように運営させていただいております。

三好:さすがです。

上原:ありがとうございます。では、そろそろお時間ですので、これで石棒クラブの報告を終わりとさせていただきます。清超さん、ありがとうございました!

ライター:蛯谷夏海
東京大学 大学院農学生命科学研究科所属。2019年3月に飛騨の旅館のお手伝いをしたことをきっかけにFCLを知り、参加。修士論文では「関係人口の具体化」をテーマに研究に取り組む。地方を飛び回って現地の人と交流するのが大好き。

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